難原因究明体制の強化等を積極的に推進している。
@海難調査の迅速化と審判の集中審理を図り、特に、重大海難事件については、重点的かつ早期の処理に努める。
A外国船関連事件の処理については、さまざまな制約のある実情に鑑み、より円滑かつ的確な外国船にかかる調査、資料収集等を行えるよう、海難調査等のための国際協力を推進する。
B船舶の技術革新等に対応し、海難解析のために必要な幅広い知識や技能の習得を目指す研修を実施し、審判官・理事官等職員の資質の向上に努める。
C海難防止施策に反映させるため、主要な海難事件の裁決書またはその要旨を関係行政機関や海事関係団体等へ配布するなど、海難およびその原因にかかる情報提供業務を強化する。
D海難および審判にかかる情報の集積の充実を図るとともに、情報解析体制を強化し、それらに基づき、同種海難の態様や原因を総合的に調査分析し、海難防止上有効な提言を盛り込んだ報告書を作成し、公表する。また、行政文書のA判化の動きに対応して、審判関係文書をA判化するとともに、読みやすく分かりやすい裁決書をめざして、その情書きをも検討し、推進していく。
E整備が進みつつある行政情報ネットワークの活用により、業務の効率化と国民に対する海難および審判にかかる情報サービスの向上とを検討し、推進していく。
今後とも、海難審判庁においては、海上交通をめぐる諸情勢の変化に対応しながら、海難原因究明体制の一層の強化、充実を図り、より的確な海難原因の解明に努めるとともに、その成果を海難防止施策に十分反映させていくことが必要である。
また、海難調査の共通原則やIMOデータベースの構築など、海難調査にかかる国際協力については、海難の再発防止を目的とする我が国海難審判制度との調和を図りつつ、積極的に対応し、よりよい国際協力体制づくりを行っていく必要がある。

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